STAGE MANAGER•ステージマネージャー

(English on Page 2)

こんにちは!!

2021年最初の『わが町』ブログです!!

今年こそは、名古屋プレイヤーズが『わが町』を上演する年。コロナに負けず、着々と、上演の準備にリハーサルを進めつつ、名古屋プレイヤーズは2021年を全力で駆け抜けて参ります!!

どうぞ本年も、名古屋プレイヤーズを宜しくお願い申し上げます。

Frank Craven as the STAGE MANAGER in the original Broadway production of Our Town (1938)

早速、本日のブログのテーマですが、『わが町』の中でステージを取り仕切る人物、ステージマネージャー(舞台監督)(以下、ステージマネージャー)についてです。

皆様、ステージマネージャーの存在、読んでて不思議に思いましたか??

それとも、演劇を観に行って、舞台監督がステージ上で話の筋をその都度説明してくれるなんてお優しい!!あり難い存在??

ということで、本日のブログは、『わが町』における、ステージマネージャーの重要性について考えてみたいと思います。

忘れてはならないことは、この『わが町』が、ある3つの要素を巧みに利用して演劇を表現することに成功した、画期的な作品であると言われていることです。

では、『わが町』が1938年2月4日にアメリカで初演されたとき、観客、批評家たちを大いに驚かせた演劇上の大胆な仕掛けを3つご紹介します。

1.第4の壁を破る(背景などを表す壁、プロセニアム・アーチ、大道具・小道具などの一切ない舞台での上演)
2.パントマイムによる表現
3.時間の飛躍(回想シーンの挿入など)

『わが町』の初演から既に83年経っている今日においては、多くの現代演劇の演出家たちにより繰り返し使用され、すっかり演劇表現の手法として定着している馴染みのスタイルです。

そして、1938年初演当時では画期的であったその手法を、観客に解りやすく示し、彼らが物語の中に入っていけるための案内役、そして物語の語り手をも担っていたのステージマネージャーだったわけです。

ステージマネージャーが登場するシーンに注目して物語を読むことで、きっと、新しくより奥深い『わが町』の世界の神髄を発見できると思います。ステージマネージャーは、上記「演劇上の大胆な3つの仕掛け」が舞台上で大活躍する際に、必ず、舞台上に登場します。特に、③番「時間の飛躍」が起こるシーンでは、ステージマネージャーに是非注目してみてください!

ところで、『わが町』以前の演劇の主流とは、どのようなものだったのでしょうか?

20世紀以前の演劇では、ある特定の一人の人物の様々な経験や体験が、一定の時間の中で、舞台上で、一人称または三人称で描かれる、というものが主流でした。

表現する事柄や主体が、常に直線的かつ単一的だったということが大きな特徴です。

しかしワイルダーは、演劇による表現において、独立した一個人の経験や体験を描くことに限らず、存在するその他の人々(キャラクター)の経験や体験をも同時に描きたかったのだということが解ります。そのアプローチについては、ワイルダーの『三戯曲集』(『わが町』『危機一髪』『結婚仲介人』)(The Three Plays -Harper Collins Publishers L.L.C. in 1957)に付されている、ワイルダー本人による「序文」を読んでみるとよく解ると思います。

ワイルダーは、存在する一人ひとりの中に、個々の日常生活や恋愛などの経験や体験が存在し、それら一つ一つが、すべて真実であるものとして、舞台上で表現されるべきであると信じていました。そして、その重層的な真実を舞台上で表現したいと試みていたのです。

『わが町』を活字で読み進めていくと、時折、複雑で物語に入っていきにくい場面に遭遇します。その大きな理由の一つが、『わが町』のステージ上での表現方法にあります。

Hal Holbrook as the STAGE MANAGER in the 1977 television adaptation.

上で述べたように、ソーントン・ワイルダーは、重層的に存在する世界を表現する方法を特に注視しており、事実、『わが町』の物語の中には、それぞれの登場人物の経験や体験、思考などが、それぞれがすべて真実として、実に多様に描かれています。

そして、ワイルダーは、舞台上で繰り広げられる重層的な物語の断片や、シーンの一つひとつをまとめ上げる重要な役としてもまた、ステージマネージャーを活躍させました。

当時、語り手でもあるステージマネージャーが、観客に対して直接語りかけることこそ、第4の壁(=演者と観客とを隔てる距離)を撃ち破る、『わが町』において最も画期的な表現方法でした。 

この野心溢れる表現の世界を、名古屋プレイヤーズがどのように形にしていくのか、とても楽しみです!!

是非、どのような舞台になるのか、想像しながら原作を読みつつ待っていてくださいね!!

お体にお気をつけて、是非、次回もお楽しみに♬

山本 温美
Content & Outreach担当
名古屋プレイヤーズ

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